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三石祐馬さん(ハンドボール日本代表チーム情報科学委員専任コーチ)
投稿日 2025.08.20

「わかっていないこと」に気づく力が、アスリートとの対話を変える
ーー1252エキスパート検定を通じて深めた、支援者としての在り方

「女子アスリートを支えるためには、単に“正しい知識”を持つだけでなく、相手の人生に関わる責任と、深く丁寧に向き合う姿勢が必要」――そう語るのは、ハンドボール日本代表チームの情報科学委員の専任コーチの三石祐馬さん。

今回は、1252エキスパート検定を受けたきっかけから、学びの中で得た気づき、そして現場でのコミュニケーションの変化までお話を伺いました。

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―1252エキスパート検定を受けた理由は何でしたか?

三石さん:
もともとハンドボール選手として活動していましたが、将来的には指導者としてハンドボールに関わりたいと思い、大学時代に指導者を目指すようになりました。理想の指導者像を模索する中で、「社会スポーツ心理学」の分野に強い関心を持ち、大阪体育大学大学院土屋研究室に進学しました。
大学院では、土屋先生の研究室で、どうすればアスリートにとって安心できる環境をつくれるのか、何が彼らのパフォーマンスや心に影響を与えるのかについて、常に問い続けていました。土屋先生からのご紹介もあって、その延長線上に1252プロジェクトとの出会いがありました。
当時は、自分自身が指導者として、女子アスリートと関わるうえで、自分に足りていない知識や配慮すべき事項があると感じていたので、「検定」という形で体系的に学べることに大きな価値を感じました。

―検定を通じて得られた印象的な学びはありますか?

三石さん:
もともと、大学院時代に1252プロジェクトについて学ぶ機会をいただいたこともありました。また、それまでにも、月経に関する基礎的な知識はありましたが、1252エキスパート検定のテキストは、女子アスリートを指導する際に必要となる知識が体系化されていて、それまで知らなかった領域に関しての知識を網羅的に学ぶきっかけにもなりました。
1252エキスパート検定を受検したことで、改めて、女子アスリートを指導するにあたって必要となる知識を体系的に学べたことはもちろんですが、それ以上に自分にとって検定を通じて得られた気づきがあります。
1252エキスパート検定に限らず、資格全般に関して、恩師の土屋先生がおっしゃっていることの一つに「資格は、自分が理解した範囲を表す四角(しかく)である」という言葉があります。つまり、資格とは自分の知識の“枠”であり、その中で“わからないこと”を浮き彫りにするものだと。
私は、1252エキスパート検定においても、正しい知識を得ることはもちろんですが、自分自身が「どこまでを理解していて、どこから先が曖昧か」を自覚するための機会だったと思っています。
検定を受検したことで、結果として、以前よりも自分が“わからないこと”に敏感になりました。そして、自分がわからないことを、そのままにしない姿勢も身につきました。具体的には、自分ではわからない分野について、どの分野の専門家に相談すればよいかなど連携して選手をサポートするための最適解を考えるようになりました。

―実際に女子アスリートと関わる中で、課題や意識されていることなどはありますか?

三石さん:
年齢の近い女子アスリートと関わる場面が多いため、距離感やコミュニケーションに悩むこともあります。
また、ハンドボール女子日本代表チームのコーチとして、女子アスリートのパフォーマンスを高めること、結果を残すことはもちろん重要です。しかし、同時に、女子アスリートが引退した後の人生に対しても、責任があるということを忘れてはならないと思っています。
例えば、無月経による影響は、選手を引退した後の骨密度や不妊など、その人の人生に大きな影響を与える可能性もあります。今現在のアスリートとしてのパフォーマンス向上や競技力の強化だけではなく、その後、10年30年後のアスリートの人生のことも考えて、指導する責任があると日々感じています。

―今後、1252プロジェクトに期待していることはありますか?

三石さん:
ハンドボール競技においては、男性指導者が多く、女子アスリート特有の課題に関しての知識が不足している部分も多くあります。また、それらを学ぶ機会をすべての指導者が得られるわけではありません。
私自身、ナショナルチームのコーチとして、ナショナルトレーニングセンター(以下、NTC)で勤務する中で、様々な講習を受ける機会があります。そのようなカリキュラムの中で、1252プロジェクトの内容を学ぶ機会などがあれば、多くのコーチが知識を得る機会が広がるのではないかと思っています。
また、検定で学んだ人たちの“横のつながり”を作れる仕組みがあると、もっと女子アスリートの力になれると思います。
現場ごとの課題や、どう対応しているかといったことを共有し合えるだけで、実践の質は大きく変わるはずです。
また、検定を受けて終わりではなく、その後も継続的に学び直せるようなフォローアップの機会があると嬉しいです。情報はどんどんアップデートされるので、それをみんなで追いかけていける場所があると心強いですね。

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三石さんのお話を伺い、“わからない”ことに真摯に向き合おうとする姿勢が、アスリートとの信頼を育てるということを感じました。
1252エキスパート検定は、知識を得ることがゴールではなく、選手たちの声にきちんと耳を傾ける「対話力」を育てる土台なのかもしれません。

<三石祐馬さんプロフィール>
公益財団法人日本ハンドボール協会 情報科学JOC専任コーチ
女子日本代表アナリスト
男子日本代表ユースアナリスト

三石さん Xアカウント:https://x.com/yuma0509_hand
三石さん note:https://note.com/yuma0509hand
こちらの記事で「1252プロジェクト」をご紹介くださいました:https://note.com/yuma0509hand/n/n92e947873bd7

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