
水泳元日本代表・竹村さんが語る、生理の辛い経験と若者たちへ
元競泳日本代表として数々の大会で活躍してきた竹村幸さん。長年の競技生活の中では、生理やPMSによる心身の不調に悩まされ、「もう引退した方がいいのでは」と思い詰めた時期もあったといいます。
今回の1252プロジェクトインタビューでは、そんな竹村さんの経験と、体やコンディションの知識を深めるために受検した「1252公認 女子アスリートコンディショニングエキスパート検定」についてお話を伺いました。スポーツの現場だけでなく日常生活でも役立つ学びの魅力を、竹村さんのリアルな声とともにお届けします。
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ー生理やPMSでつらかったことはありますか?
竹村さん:
一番つらかったのは27歳の頃ですね。何か特別な原因があるわけじゃなくて、生理の1〜2週間前になるとすごく落ち込んで。本当にしんどくて、「飛び降りようかな」って思うくらい。でも生理が始まると、不思議なくらいスッと元に戻るんです。いつもの自分に戻って、「あ、私、めっちゃやばかったな」って笑えるくらいでした。
その経験が一番つらかったですね。この時期は競技では練習もあまりよい状態ではなく、結果もあまりでなくて、スランプっていう年齢でもないんですけど「もう引退した方がいいんじゃないか」って悩んでいて、環境面でもちょうど大阪から東京へ出てきたタイミングでした。そういうのも重なってどんどんひどくなっていった感じでした。
ただ、生理が始まるとちょっと落ち着いていつもの自分に戻っていくんです。何日間か我慢してたらいいっていう気持ちはちょっとどこかにありました。
体調が悪い時期でも、朝になると良くなっていることが多かったです。ある日、昨晩の私やばかったなと思い、それでふと友達に半分冗談じゃないですけど、「死んじゃいたいって思ったんだよね」って明るい感じで言ったんです。そしたら友達から「それは病院に言った方がいい」って勧められて。
ーPMSと診断され、「これで治る、自分のせいじゃなかった」と思えたー
ー病院に行ってみていかがでしたか?
竹村さん:
精神科へ行ったら、PMSかもしれないから婦人科を受診するよう勧められました。婦人科でPMSと診断され、すごく救われました。「病気なんだ、じゃあ治るじゃん、やっぱりおかしかったんだ。」みたいな感じで、悲しいとかではなく、「これで治る、自分のせいじゃなかった」と先が見えて明るい気持ちでした。
今思うと、友達に話せたことが大きかったです。自分でも「こんなこと言ったの初めてだな」って思っていましたが、でも、話すことで楽になった部分もあったし、そこで病院を勧められてPMSと分かりました。ため込まないで話せたことが自分にとって大きかったと思います。

ー自分の状態を判断して「今日できることをする」ことが大事ー
ー 生理期間中にはどの様な対応をしていましたか?こんな工夫をしていた、というものがあったら教えてください。
竹村さん:
私は生理のタイミングをずらして、試合に重ならないように調整してました。もし重なってしまった時は、骨盤が緩みやすいと感じていたので、生理用のトレーニングに切りかえて準備をしていました。水泳は体が冷えやすいので、普段日常生活ではいつもより1枚多くお腹の周りを布が覆うようにして、とにかく冷えないようにしてました。
また、お腹に力が入りづらいなという感覚もあります。「今日はちょっと力が入らないな」っていう日は、無理に頑張るんじゃなくて、「これくらいやれたらOK」と自分で基準を決めて取り組んでました。
私は体調が悪い時はコーチにも普通に伝えてました。なかなか生理のことでコミュニケーションが取れないコーチもいらっしゃいましたが、それでも話すようにはしていました。
トレーニングもその日できることを自分で考えて、コーチにも「今日はこれができます」って申告していたんです。
単に「生理だから休む」っていうのはちょっと違うかなって思います。自分の状態を判断して「今日できることをする」っていうのが大事だと思っています。それがアスリートとしての向き合い方かなって。コーチにも伝えると、「じゃあこれくらいはどう?」って提案してくれました。それがすごくありがたかったです。
PMSがひどかった時期に担当してくれてたコーチは、本当に親身になってくれて、「無理しないで」とか「今日はこういうことしようか」って一緒に考えてくれて。男性だったんですけど、本当に嬉しかったです。
実は「無理しないでいいよ」っていう言葉、好きじゃなかったんです。突き放されてるように感じたこともあって。でも、そのコーチが言ってくれると違って聞こえたんです。「生理だから無理だよね」って決めつけられている感じではなく、「君のパフォーマンスを諦めてないよ」っていうのが伝わってきて、本当に心強かったです。
ーチームメイトと生理について話すこともありましたか?また、体調が悪そうなチームメイトがいた時、どのように声をかけていましたか?
竹村さん:
チームメイトとは、生理のこともオープンに話してました。「漏れてるよ〜」って冗談っぽく言えるくらいの雰囲気で、みんな自然と理解があったと思います。自分の体調をちゃんと話すのが当たり前の環境だったので、不安を抱え込まずにいられました。
辛そうな子がいたら「大丈夫?」って声をかけたり、「今日は帰って休んだ方がいいよ」って提案したりしてました。体調が悪くても練習に出てる子は頑張り屋さんが多いです。何かを成し遂げたい強い意思があるからそこにいるんだと思うんですよね。
でも後輩には、「そういう時は無理をする理由はないよ」っていうことも伝えてました。無理をしすぎることは体の負担を考えるとよくないことかなと感じていたので。少しでも気持ちを楽に生理と付き合えるように、話を聞いたり、寄り添うようにしてました。
ー「まずは知ること」それがなりたい自分への第一歩ー
ー今思うことと、若い選手へのメッセージ をお願いします。
竹村さん:
今は体調もすごく安定していて、本当に楽になりました。生理についてもっと早く知っていればよかったなって思います。昔は薬の選択肢が少なかったけど、今はピルもホルモン剤も種類があって選択肢が広がっていてありがたいです。
若い選手たちには、「まずは自分を知ること」が何より大事だと伝えたいです。夢を叶えるためには、自分の取り扱い説明書が必要で、それがないとゴールにはたどり着けないと思ってます。
自分の体のことを知っていれば、準備も対処もできるし、逆にパフォーマンスアップにつなげられる。だから、本当に「まずは知ること」。それがなりたい自分への第一歩だと思います。
ー1252エキスパート検定を受検した感想をお聞かせください。
竹村さん:
生理や身体についての「エキスパート検定」も受けてみたんですけど、難しかったですね。だからこそ本当に勉強になりました。水泳以外の運動力学も載ってて、「走るときってこう動くんだ」とか、「後ろに蹴るんだ」とか、知らないことばっかりで新鮮でした。
私は水泳の知識しかなかったので、それ以外も学べて、生理について学んだというより、身体そのものについて学びました。
男女問わず、どんな立場の人でもこういう知識は絶対に役に立つと思いますし、知っておいて損はない。体を知るって、本当に武器になるんだなって改めて実感しました。

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「まずは自分を知ること」――竹村さんの言葉は、アスリートだけでなく、日々の生活をよりよく過ごしたいすべての人に通じるメッセージです。体の変化や不調をただ我慢するのではなく、知識を持ち、適切に対処することが、自分らしいパフォーマンスへの近道になります。
今回のインタビューが、生理やPMSについて話し合えるきっかけや、自分の体を知る第一歩となれば幸いです。
生理やPMSと向き合いながら、第一線で活躍し続けてきた竹村さん。ご自身の経験から、「まずは自分を知ること」が何より大事だと語ります。体の変化や不調をただ我慢するのではなく、知識を持ち、適切に対処することが、自分らしいパフォーマンスへの近道になります。「体を知ることは武器になる」――竹村さんの言葉をきっかけに、あなたも1252エキスパート検定で、自分や選手を支える力を身につけてみませんか。
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<竹村幸さん(元競泳日本代表)プロフィール>
8歳から水泳をはじめ12歳で全国優勝。
15歳でジュニア日本代表入りを果たし、19歳でシニア日本代表入り。
2010年ワールドカップリオデジャネイロ大会で背泳ぎ50m、100m、200mを制し3冠を達成。2014年仁川アジア大会で銅メダルを獲得。2018年短水路世界水泳大会で日本新記録(リレー種目)樹立。
2020年の現役引退後は、女性アスリート支援やパラ水泳の普及活動など社会貢献活動に力を入れている。
インスタグラム:@miyuki.t.725
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