
「選手と指導者がぶつかったときに、突き放すんじゃなく、テキストブックを勉強した上で、寄り添って話してあげるのが大事」
「もっと勉強して、知識も、豊富に蓄えた上で接してあげれば、また違う方向性で 導いていけるんじゃないか」
今回お話を伺ったのは、一般財団法人大阪府バレーボール協会 指導普及部の岡田さん。
大学での女子バレーボール部の監督を退任した後に出席した研修会で、1252エキスパート検定を案内されたのをきっかけに受検を決意。初めて触れる内容の多さや検定の難易度に戸惑いながらも学びを重ねる中で、これまでの指導を見つめ直すようになったといいます。本インタビューでは、検定を通して得た学びと気づき、そしてこれから女子アスリートに関わる指導者へのメッセージを伺いました。
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ー1252エキスパート検定を受検されたきっかけを教えてください
岡田さん:
2024年に東京で開催されたJVA(公益財団法人日本バレーボール協会)バレーボールコーチカンファレンス2024に出席した際に案内をいただいたのがきっかけです。こういう検定があるということも、その時に初めて知りました。
女子の指導もしていましたし、大学でスポーツをしている娘もいますので、女子アスリートのコンディショニングについて勉強しておかないといけないなと感じて、1回ぐらい受けてみようかなと受検を決めました。
ー1252エキスパート検定の難易度はいかがでしたか?
岡田さん:
とても難しかったです。途中で断念しようと思いましたが、知識をしっかりつけておかなくてはと思い、勉強を続けました。女子アスリートを指導していても、1252公認 女子アスリートコンディショニングエキスパート検定テキストブックの内容に携わることがほとんどなかったので、もっと時間をかけて勉強しないとダメだと思いました。
テキストの内容は、女性の方が理解しやすいのではないかなと思います。 普段、高校や大学などで授業をされている男性の方だったら、比較的合格しやすいかなとは思うんですが、私にとっては難しかったです。検定は問題数も多かった(1)ので、初めて受検したときは、全然時間が足りませんでした。
ー指導している学生たちから月経の悩みや困りごとの相談を受けることはありましたか
岡田さん:
大学のチームで監督をさせてもらっていたのですが、週に2回ほどで、直接接する時間も短かったので相談をうけることはありませんでした。
秋と春のリーグ戦の時期は毎週日曜日に試合があり、強豪チームになればなるほど選手と接する時間が長くなるので、そういうチームの監督は、知識が必要になってくるんじゃないかなと思います。
ー男子と女子では指導の違いはありますか?
岡田さん:
女性の場合は、その日の体調によって態度に出たりするので、その時にどれだけ向き合ってあげられるかが重要だと思います。いかなる理由があっても、向き合ってあげないとダメだなというのは、今思っています。
男子の場合は不満をもっていてもある程度やってくれますが、女性はやっぱりはっきり言いますし、どれだけ向き合って話していけるかが大切です。
男子と同じような感覚で、教えたり、接したりするのはやっぱあかんなっていうのは思いますよね。
ー女子アスリートを指導する男性指導者の方へ伝えたいことはありますか?
岡田さん:
公式戦があるのでどうしても勝敗が出るものだし、強い、弱い、いろんなカテゴリーの中でみんな一生懸命やってるんで、年齢が上がるとともに、指導者に対しての言葉がきつくなったり、選手と指導者がぶつかることもあります。でも、ぶつかったときに突き放すんじゃなくて、テキストを勉強した上で、寄り添って話してあげるのが大事だなっていうのは思います。
メンタル面に関しては、僕は表面的な意見の交換しかできてなかったけれど、テキストの内容のことが頭の中に意識として入っていれば、また指導者同士も変わってくると思います。大学の授業を教えられている先生や体育の先生とかは、テキストの内容も勉強されていると思うんですが、例えば、中学校の部活の先生など、専門的なことを知らないまま、女子中学生を教えているっていうとことも結構多いので、このテキストで勉強した上で指導するということは大切になりますから。
中学校の部活動は外部指導者に移行していくので、検定を受ける受けないは別として、テキストの内容は勉強した方が絶対いいですね。
ー1252エキスパート検定を通して印象に残った学びや、考え方の変化はありましたか?
岡田さん:
女性の場合は1252という名称通り、月経など女性特有の課題があって大変だなということが理解できました。男子では、同じような体調面での問題を抱えた状態で、スポーツをうまくやっていけるかというと無理だなと。女性だからやっていけると思いますね。
テキストを読み進めていく中で、女性の大変さや、女性ならではの複雑な特徴があるということがわかったので、向き合って話すときも、単純に答えるのではなくて奥深くまで考えて、話すことが大事だと思いました。
男子の場合は よっぽど怪我とかならない限り、調子悪くするっていうのはなかったので、女性が公式戦と月経が重なって、調子の良し悪しが出ることもあったんだろうなと、今考えると思いますよね。 そういうのは、テキストに出会うまでは、ただ単に調子が悪いだけなのかなっていう思いしかなかったので、そういう部分でも、やっぱりもっと早く勉強しておいたら、もっと違う接し方や取り組みができたんじゃないかなっていうのは、今反省しているところですね。
女性を指導している男性の方は、絶対、勉強した方がいいですね。
ー学んだ内容を、今後どのように活かしていきたいと考えていますか?
岡田さん:
もしまた指導する機会があれば、テキストの内容を踏まえた上で取り組んで接していきたいです。
テキストの通り全部が全部やれるかといったら、難しいかもしれないですけれど、選手それぞれに合わせて取り入れて、取り組んでいければ良い状態になると思います。
知識を知った上で、言葉をかけるかけないで、また全然違うでしょうし、もっと勉強して、 知識も豊富に蓄えた上で接してあげれば、また違う方に 導いていけるんじゃないかなというのは 思っているところですね。
ーご自身のライフスタイルの中で、学ぶ時間を確保するために工夫されたことはありますか?
岡田さん:
朝の通勤と帰りの時間を使いました。通勤時間が1時間ぐらいで、実質30分ぐらいは勉強できました。月経の仕組みや名称など女性の方は聞き慣れた言葉であっても、男性の私は初めて聞くようなものが多く、全く関係のなかった内容なのでイメージもわかないことが多かったので、毎日、テキストを見てよく読んで学ばないとダメですね。
ー1252エキスパート検定の受検を考えている皆様にメッセージをお願いします
岡田さん:
合格不合格や受検費用もあると思いますが、1回は合否を気にせず受けた方が自分を知ることができるし、受検費用よりも大きいものが得られると思います。
テキストを読むことによって、女性に対しての指導を安易にはできないなっていうのはわかると思います。
男性にとっては特に難しいけれども、学んだ知識は役に立ちます。
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今回のインタビューからは、「もっと早く知っていれば」という思いとともに、学びによって指導がよりよい方向へと変わっていく可能性が伝わってきました。実際に学んだからこそ見えてきた気づきや後悔は、これから指導に関わる多くの方にとっても、決して無関係ではないはずです。
1252エキスパート検定は、そうした気づきを得る一つのきっかけになります。
女子アスリートに関わるすべての指導者にとって、女子アスリートに向き合ううえで必要なのは、経験や感覚だけでなく、正しい知識も。その積み重ねが、選手との関わり方や言葉のかけ方を少しずつ変えていくのではないでしょうか。
合否に関わらず、まずは一度学んでみることで、自身の指導や関わり方を見つめ直す機会になるかもしれません。
注(1)1252エキスパート検定
問題数・検定時間=1級:50問 90分 2級:30問 60分
解答形式=4つの選択肢から1つを選択
詳しい実施概要はこちらからご覧いただけます。
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<岡田有弘さんプロフィール>
一般財団法人大阪府バレーボール協会 指導普及部

